ENGLISH

03-5457-1212受付時間
9:30~18:00(平日)

ENGLISH

03-5457-1212受付時間|9:30~18:00(平日)

カタログ・
お問い合わせ

【初級編】 フレームレートとシャッタースピード

ハイスピードカメラはスローモーション映像情報を生成するデバイスです。一般的に高速な現象で(目にとまらない)情報を(見えるようにする)ことが仕事です。より速いものを見えるようにするために撮影速度を上げていくのですが、ここに(フレームレート)と(シャッタースピード)という二つの要素が表れ、時々分かりづらいという声をききます。ここではこの(フレームレート)と(シャッタースピード)についてお話しします。

 

ハイスピードカメラで得られるスローモーション映像は、動画で時系列の情報です。この動画は実は静止画の集合体と考えることができます。再生アプリで動画を一時停止すると動画は静止し、まるで1枚の写真=静止画=のように見えます。再生アプリに(コマ送り)という機能があれば、次の1枚を表示させることができますので、動画は連続的に見えても、1枚の静止画と次の1枚の静止画の間には情報がなく、非連続な情報、断片的な情報ということになります。たとえ話でよく使われる(パラパラ漫画)の状態です。

静止画の集合体が次々と表示されることでまるで情報が連続しているかのように感じられる、ということです。

静止画でお話しするならば、フレームレートとは、時系列でみたときの隣り合わせの2枚の静止画についての数値です。この2枚の静止画が撮影されたタイミングは少しだけ違うのですが、この違いの量=時間差=がフレームレートです。正確に言えば時間差(単位:秒)とフレームレート(fps)は逆数の関係です。時間差が0.01秒(1/100秒)のとき、フレームレートを100fpsと表します。一方、シャッタースピードとは、1枚の静止画についての情報であり、この1枚の静止画をどのように作るか、という話となります。ハイスピードカメラだけではなく一般のビデオカメラ、また静止画用のカメラにも存在する要素です。その意味で翻ってフレームレートとは独立した静止画・1枚の静止画には存在しない要素です。

まず、フレームレートの話をします。

2つの映像(静止画)の時間間隔が、1/100秒という例で話を進めるならば、この1/100秒ごとの映像を連続して100枚並べれば、1秒の情報になります。1秒間という時間の中に100枚の映像(静止画)が有るので、「1秒あたり100枚」という言い方ができ、英単語を使って、100frames per second → 100fps と書きます。(frame)は、フレームという日本語になっています。枠、という印象を与えるこの単語は、この場合動画を静止画の集合体とみなすときの静止画に相当する言葉と思ってください。コマ送り、などというときのコマはフレームとかなり近い意味に相当します。(per)は一あたり量を表す言葉であり、(second)は秒ですね。

ハイスピードカメラにおいてこのフレームレート(fps)が一番大事な能力の指標と言えるでしょう。この数値が大きいほど、単位時間あたりの情報が大きくなり、スローモーション映像を得て再生した際のスローモーションの度合いが強くなります。

再生するときに、ふつうは秒30枚の再生スピードが採用されるので、仮に100fpsで録画した映像であれば、1秒の情報=100枚=を再生するのに3.3秒の時間が必要です。野球の打者が1秒でスイングするシーンなら、それが3.3秒かけて再生されることなり、じっくりと見ることができます。これを3.3倍のスローモーションなどと言う場合もあります。1000fpsで撮影するなら、1秒のスイングは33秒かけて再生されますので、スローモーションがずっと強く感じられ、この場合なら(じれったい)と思われる人も出てくるでしょう。

今は表示する装置(パソコンや液晶モニター)の表示能力も向上していますので、100fpsで記録した映像を120fpsで再生してしまうと、逆に少し早送りしたようになります。スローモーションは記録(録画)した際のフレームレートが最も重要ですが、この例のように実際には再生する際のフレームレートとの相対関係で決定します。再生側のフレームレートは30fpsが最も一般的ですが、スローモーションをきつくしたいなら、15fps、極論すれば、1fpsなど小さいレートで再生すれば、ゆっくり見ることはいくらでも可能です。ただし、それはスローモーションというより、(かくかくとした再生)になってしまいます。同じ情報量の動画を再生することで言えば、ゆっくり、と滑らかさ(動きの連続した感じ)はトレードオフの関係ですので、どちらを選ぶか、という判断となります。

120FPSの再生で滑らかな再生を望み、また、10倍程度のスローモーションを得るためには、1200fpsの撮影を行えばいい、ということになります。

次にシャッタースピードの話をします。シャッタースピードとは、あるフレーム(1枚の静止画)を生成するために、外部の情報をどれくらいの時間をかけて映像として取り込むか、です。センサーを光にさらす時間です。窓から差し込む光をイメージすると、窓を開けておけばそのあいだ光はどんどん入ってきますが、窓をたとえば覆いを使って閉じてしまえば、そのあいだ光は入ってきません。この開口部のことを閉じるモノ、SHUTするもの、でシャッターというわけです。シャッターは閉じるのが仕事のようですが、シャッタースピードはシャッターを開いておくほうの時間です。よって、隣のフレームがどうこう、は関係なく、1枚のフレームにおける数値ということになります。光に露(あらわ)になる時間で露光(ろこう)、また露光時間という表現もあります。シャッターを設定することを俗にシャッターを「切る」という表現も使いますので、以降出ていたらそのように解釈願います。1/1000秒でシャッターを切る、とは、シャッタースピードとして1/1000秒を採用し設定する、露光時間が1/1000秒である、と同じ意味です。

カメラのシャッターの映像(メカニカルシャッター)

商店街の店のシャッターのように上下方向に板状のカバーが動いてセンサー表面を覆います。

 

 

動いている対象物を撮影すること考えます。仮に画面の左から右へ運動する野球ボールを撮影したとして、露光時間がどれくらいならいいでしょうか。これは(いい)という敢えてあいまいな言葉を使いましたが、情報を得たい人の好み、目的、による、ということなります。シャッタースピードが、仮に1/100秒として計算してみます。

時速100㎞のスピードボールにおいて、1/100秒で移動する距離は、0.28mです。ボールのほかは何もカメラの前に存在せず、ということでカメラの視野が横方向1mの視野で撮影したならば、以下のようなイメージとなります。

ボールの映像は円ではなく、楕円のような形です。これは動いている間ボールが変形したわけではなく変形したように撮影されて、ということでありボールの実体はこの間つねに球体ですし投影面上の形は円です。

(白~灰色の濃淡はひとまず無視しています)

 

これは、ボールが1/100秒という有限の時間において、以下の図のように多様な位置を占めて移動していることによります。1/100秒という露光時間の最初から1/1000秒後の位置と、最初から9/1000秒後の位置は異なりますので、いずれの位置の情報(光)もセンサーに記録されている、ということです。

一般的に写真を撮る際に言われるいわゆる(手振れ)とは、このシャッタースピードに依存する状況です。対象が遅く動くもの、静止したもの、であってもカメラ側の位置や姿勢が手の振れで変化すれば、相対的に画面の中でものは位置を変えて撮像されてしまいます。

この得られた映像で満足であれば、そのシャッタースピードでいい、ということになりますし、この得られた映像が(対象がぶれて=多重に撮影されて=いて嫌だ)となれば、シャッタースピードを上げる選択をします。シャッタースピードを上げるとは、シャッタースピードの時間を短くする、露光時間を短くするということです。

シャッタースピードを上げれば上げるほど=シャッターを短く切れば切るほど、速く動く物体を撮影した映像において物体の移動量が小さくなり、その物体の本来の姿=静止しているときの姿=に近づきます。移動量が1mm程度までならいい、という判断であれば、このボールが1mm移動する時間を計算してそれをシャッタースピードとして採用します。(約4/10000秒です)

フレームレートがいくつであったにせよこのシャッタースピード(4/10000秒)を採用すればブレは1mm程度である、ということになります。スポーツ新聞で、たとえばホームランを打った瞬間の打者(バット・ボール)の写真が掲載されたとするとそれはブレの無い写真ならシャッターが十分に切れた映像だった、ということです。この写真は動画ではないので、フレームレートという概念はありません。

空中にボールが静止していることを我々は普段見ることがないので空中に静止したような映像を見たときそのボールは動いていると勝手に判断するのですがそれでも独特な感覚をもたらします。他方、あえてシャッター速度を少し落とす(長い時間のシャッターを選ぶ)ことで、映像にブレを生じさせて、その(動き)を想像させる、という演出も選択されることがあります。バットが風をきって振られる様子やボールが勢いよく飛び出す様子などが、漫画などでは、線を多数書き加えることで描かれますが我々はこれを動きとして想像する・イメージすることができるからです。

 

フレームレートとシャッター(露光時間)は無関係ではなく、普通の感覚・解釈では、フレームレートが高い(より高速な撮影をする)場合は、撮影対象の動きが相対的に速いことを意味するので、素直に撮影するなら、シャッター速度は速く(=露光時間は短く)なります。逆に、撮影対象の動きが相対的に遅い場合は、フレームレートが低くなり、シャッター速度も遅くする(=露光時間は長く)ということになります。一般的にはフレームレートとシャッター速度が強い正の相関にあるので、誤解が生じやすいのかも知れません。

ここでは敢えて、逆の組み合わせで、同じ対象を撮影した事例を例示したいと思います。

*フレームレートは高いけれど、シャッター速度は遅い

*フレームレートは低いけれど、シャッター速度は速い

 

なお、フレームレートで計算される隣り合わせのフレーム間の時間より長いシャッター時間を設定することはできません。ある瞬間の光(情報)が、複数のフレームに存在する、ということは起きない、ということです。

 

 

 

図で(1)(2)(3)は同じフレームレートにおけるシャッター時間の違いを模式的に示したもので、時間が左から右へ流れます。一番上の青の矢印が1フレームの時間で図では、100fpsを例にとり10m秒を示しています。この撮影が同じように繰り返されています。

一方、赤の矢印がシャッターの時間で同じフレームレートでも多様なシャッター時間が設定でき、【1】開放、【21/200秒(5m秒)、【31/1000秒(1m秒)を表しています。開放は1フレームの時間とほぼ近似し、約10m秒です。露光については、フレームが切り替わるタイミングで一度閉じる時間が有りますので、10m秒よりは短くなっています。矩形波の下の下がった区間がその閉じているフレームの切れ目を表しており、ブランクタイム、ブランキングタイム、などと呼びます。

この図から想像されると思いますが、赤の矢印は、青の矢印より長くなることはありません。シャッターは技術的な限界を別とすれば短くすることはいくらでも可能ですが、長くするほうは上限があります。

 

 

 

 

 

 

シャッターを短くすることで、被写体の動きについてブレの小さい映像を取得することが可能なので(できるだけ本当の姿を収めたい)という普通の要求に従えばいくらでも短くしておけばいい、という話になります。ただシャッターを短くすることは1フレームで撮像面に取り込む光の量が小さくなることになり得られた映像が暗くなることは良く知られていることです。明るい・暗いも程度問題ということなので実際にはライブ映像などで確認しながら希望の情報が得られる条件を探ることとなります。

一般的には全体が暗い映像では、白い部分と黒い部分の違いが小さくなるので映像が不明瞭になります。暗い映像を明るくするには、光学的な対応、電気的な対応、情報処理的な対応など多様な対応が想定されますがこれらは別の機会に触れたいと思います。これらの工夫に加えて運用上もっとも根本的な対応は撮影対象を本当に明るくするために照明を使う、ということになります。照明という要素が最後に出てきましたが、カメラ・レンズ(光学系)と並んで照明は撮影において最も重要な要素と言えるでしょう。これについても別に触れる機会が有ればと思います。

ハイスピードカメラ(高速度カメラ)

ページトップへ戻る