情報番組での採用も多く、昆虫や鳥のはばたきのスローモーション映像をテレビでご覧になった経験は多くの人に有るでしょう。テレビだけでなく、これらの研究に携わる研究者は、もっと恒常的にハイスピードカメラを使っていることは間違いありません。前に触れたように、ハイスピードカメラは研究開発分野での採用が最も多く、大学・高専あるいは高等学校での研究・授業のほか、官民の研究施設でも採用も多いです。
ディテクトではスポーツサイエンスの項で触れますように、画像処理技術の応用として「計測」というフィールドで多くの研究開発分野に関わってきました。録画と再生という手続きにより繰り返し現象を再現させることで、複数の主観の間でデータを共有すれば、最終的には客観データとして扱うことになります。ハイスピードカメラのユーザーは一定数この範疇です。映像データで知りたいことが知れた・共有されたということです。
一方で、その映像データの「数値化」に進むユーザーもあります。例えば、開発の場面である処理を施したことで、製品の振る舞いが変わったことがハイスピードカメラの映像で確認されたとします。(より速くなった)(よりスムーズになった)(より角度が開くようになった)・・・ という情報は映像から直接見てとれます。このとき、その変化の程度が言語から数値になることで知見がさらに客観的になることを吉とするなら、速度・加速度・角度などを数値化したいという要望は必然的に導かれます。弊社の画像計測ソフトウェアはこれらの要望に応えるものです。このとき画像計測ソフトウェアの仕組み上、ハイスピードカメラを使うことで、時系列のフレーム間で関心対象をトラッキングすることが、より正確になったりロバストになったりします。ハイスピードカメラは、画像計測ソフトウェアの運用ととても親和性の高いデバイスなのです。
我々に与えられる問題の解決はいつも簡単ではなく、技術の複合と運用上のアイデアによる総体的なソリューションが必要とされます。仮に最終的には画像計測ソフトにゆだねる実験が有るとして、弊社製品で提案できるハイスピードカメラの能力ではその実験内容に足りないとするなら、他社の製品を組み合わせて問題解決することになります。また逆に、他社のハイスピードカメラのメーカーのご担当が、問題解決の手だてとして弊社の画像計測ソフトウェアを合わせてお客様にご提案くださることも多いです。それぞれの問題の解決がハイスピードカメラとその周辺技術でなされる限り、いかにAIが発達したにしても、パソコン画面に条件を打ち込んで正解が返って来る日はまだ遠いと思われます。我々メーカーがそれぞれの持ち味を活かして世界に広がっていくハイスピードカメラ業界の一角で、独自の立ち位置で貢献できることをディテクトは切に希望するところです。